2024/07/11
前回「変わらない価値を持つモノ」のお話でお伝えしたようにカリモク60は「ロングライフデザイン」というコンセプトのもと、普遍的な価値を持つ商品を今も作り続けています。
また、私が30年前に「カリモク」を知った理由も分かっていただけたかと思います。(笑)
「カリモク60」の商品にはそれぞれの特徴がもちろんあります。
各々の商品説明としてコネタを追加でお話しすることも出てくるとは思いますが、今回お伝えしたいのは「カリモク60」が使ってる材木についてです。
拘って木材を使い続けるカリモク家具の想いについて触れていこうと思います。
カリモク60で主に使われる木材料「ラバートリー」は、日本でいうゴムの木にあたります。
天然ゴムの原料である「ラテックス」を採取するために、ラバートリー材は、およそ25~30年周期で、植林と伐採が計画的に行われます。
伐採前の植林地は、木が等間隔でゆとりを持って植えられており、樹齢5~6年になったら、その後24年ほど樹液を採取します。
根っこに近い部分はタッピング(樹液を採取すること)傷が入り皮(傷が原因で樹皮の成長が止まること)となり、家具材料としては使いづらいものになります。
しかも、ラバートリー材は、狂いやすい・腐りやすい・虫がつきやすいといった、もともと家具には不適格な材料です。
普通に考えたら適さない材料を使うのはナンセンスですよね。
ですので、本来はタッピングが終わったら焼却廃棄されるのですが、そこはさすがカリモク家具の目のつけどころとうでの見せどころ(笑)
カリモク家具は現地の資材工場を整備し、【独自の材料加工】により、そのラバートリー材をなんと家具用材として使用できるものに作り変えたのです!
長い年月をかけて培った技術力を持つカリモクさんでしかできないことですよね。
私これを聞いたとき、素直に「スゴイ!」と口に出してしまいました(笑)
木材についた虫や菌の国外流出を防ぐため、カリモクが輸入しているマレーシアの政府は防虫、防腐処理をしていない材料の輸出を認めていません。
カリモクの使用するラバートリー材は、人に安全といわれるホウ酸系の薬剤処理を施したものを日本に輸入しているので、最も安心・安全な材料になります。
ラバートリー材の特性上天然乾燥は行わず、人工乾燥炉で15~20日間かけてじっくり乾燥させ、適正な含率まで下げていきます。
手間をかけることで安定した品質を提供できるのですが、実はラバートリーの原木から家具の材料として使えるのはわずか2割弱(少なっ)!
ですが、残りは単に家具の材料として使わないだけで、燃料やチップ業者に販売したりと、まったく無駄のない活用方法で廃棄することなく利用されていきます。
先ほど前述したように、本来ゴムの木であるラバートリー材はゴムの元となる樹液を採取したら家具材料としては使いづらいのですが、 そこを敢えて使うことで地元の農家にはプラスの収入源ができます。
焼却廃棄するのであれば収入どころか焼却代が逆にかかってしまいますよね…
廃材をうまく使うことができないか?という考えは意見として出ることはあっても、それを解決するための方法を考えるのは私から見てとても難しいことのように思えます。
【独自の材料加工】はおそらく企業秘密とは思いますが、それをやってのけるカリモクさんには本当にスゴイの一言です!
約30年周期の植林と伐採で出る廃材を焼却せずに使うことで、環境破壊もなく、今まさに今世界が取り組もうとしている「サステナビリティ経営」につながっていくのだと思います。
(サステナビリティ経営=環境・社会・経済の持続可能性に配慮することで、事業の持続可能性向上を図る経営)
そしてその想いが購入者様にも伝わり、そして最終的に加工された家具を手に取ってカリモクの良さを実感頂く。
環境にも優しい配慮で家具を作っていくことで社会に認められ、必要な存在になっていく。
生産者のとっても、企業にとってもメリットしかないこのアイデア、本当に素晴らしいです。
これこそがWin-Winな関係だと思います。
今回「木とつくる幸せな暮らし」と題してお話をさせていただいておりますが、 この言葉、実はカリモク家具が掲げる使命(ミッション)なんです。 それを踏まえまして、カリモク60の商品をもう一度違った角度から見て頂けたらと思います。
末永く使って頂ける普遍的なデザインの良さを真に分かっていただけると思います。
筆記者:T